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バリスタ/巌 康孝

バリスタという職業

カウンターに立ち、コーヒーやエスプレッソを淹れる。コーヒーに精通し、豆の良さを引き出し、好みの一杯を提供する。バリスタとは、ワインで言うソムリエのような存在。元町高架下の名店『GREENS Coffee Roaster』のバリスタ、巌康孝さんに話を聞いた。
扉を開くと正面に焙煎室があり、豆の芳ばしい薫りがする。「きれいな所からしか美味しいものは生まれない」との言葉どおり、磨き上げられた器具。大きな窓のある2階も落ち着ける雰囲気。行き届いた環境に、おもてなしの心を感じる。

たどりついた素材の重要性

巌さんのコーヒーはサイフォン式。喫茶店を営んでいた父から譲り受け、24年使っているサイフォンは磨かれ美しく輝いている。コーヒーを淹れ始める巌さん。1階はバー形式で、立ち働くバリスタの姿が見られるのが嬉しい。火の当たりや時間を見極める眼差し、迷いのない動きに期待が高まる。サーブされたのは、サイフォン式ならではの熱さと薫り、絶妙な苦みと爽やかさのバランスに「これが美味しいコーヒーというものか」と感動させてくれる一杯だった。

大学までは野球一筋。一見バリスタという仕事とは関連がなさそうだが、運動で培った分析力、地道にトレーニングを積む姿勢は、今も大いに活かされている。ホテル勤務を経て実家の喫茶店に就職、コーヒーを淹れ始めた巌さんは、研究と練習を重ね、何とその翌年にジャパンバリスタチャンピオンシップサイフォン部門で優勝。2年後には2度目の優勝を果たす。技術を磨いて見えて来たのは「素材の重要性」だった。豆選びと焙煎も自ら手がけようと『GREENS Coffee Roaster』をオープンした際に焙煎機を導入。「風が吹いても味が変わる」といわれるほど難しい焙煎作業、試行錯誤の連続だったが、5年を経てようやく安定してきた、と語る。

シンプルに生活の中で楽しむコーヒー

こだわりも努力も人一倍だが「味については理屈で語りたくない」という。ただ「美味しい」「ホッとした」という感覚を楽しんでもらいたい。また、販売のコーヒー豆も、気軽に家庭で淹れてみてほしい。「地域密着型のコーヒー豆屋」として地域の人の生活に潤いをあたえる存在でありたいのだという。「せっかくの人生だから、出逢える人たちに、明るいものを提供したい。コーヒーはそんな自分に与えられたコミュニケーションツール。だから精一杯やるんです。」と巌さん。まずグリーンズブレンドを飲んでみて、それを基準に好みの味を探すのが良いだろう。バリスタお勧めの一杯で、寛ぎのひとときを楽しもう。

バリスタ/巌 康孝さん
ジャパン・バリスタチャンピオン・サイフォン部門で、
2度の優勝経験を持つGREENS Coffee Roasterのオーナー巌さん。
※取材時はCafeも併設されていましたが現在は豆の販売のみを行っています。

webショップもあるようです。
http://www.greens-kobe167.jp/


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